このページで学ぶこと
式の展開とは、かっこのある式を、かっこのない形に直すことです。
数学が苦手な子は、式の展開で急につまずくことがあります。
たとえば、
2(x + 3)
を見たときに、
「かっこを外すって何?」
「2をどこにかけるの?」
「なぜ 2x + 6 になるの?」
「x(x + 3) になると急にわからない」
と感じる子は多いです。
このページでは、展開を暗記ではなく、意味からゆっくり説明します。
図で見る:式の展開
このページの大事な考え方を、図で先に確認しましょう。
展開は、かっこの中のかけ算をばらして足し合わせる考え方です。
式の展開とは何か?
式の展開とは、かっこのある式を、かっこのない形に直すことです。
2(x + 3) → 2x + 6
これを「展開する」といいます。
展開とは、かっこの中をばらして、かけ算を計算しやすい形にすることです。
「展開」という言葉は少し難しく聞こえますが、最初は、
かっこを外すこと
と考えて大丈夫です。
ただし、ただかっこを消すだけではありません。
かっこの前にある数や文字を、かっこの中の全部にかける必要があります。
まずは数字で考えてみよう
いきなり x が出てくると難しく見えるので、まずは数字で考えます。
2(4 + 3)
これは、
2 × (4 + 3)
という意味です。
かっこの中を先に計算すると、
2 × 7 = 14
になります。
では、別の考え方をしてみます。
2 × 4 + 2 × 3
と考えても、
8 + 6 = 14
になります。
どちらも答えは同じです。
2(4 + 3) は、2を4にも3にもかけてよいということです。
分配法則とは何か?
展開で使う大切なルールを、分配法則といいます。
a(b + c) = ab + ac
これは、
かっこの前の a を、かっこの中の b にも c にもかける
という意味です。
たとえば、
2(x + 3)
なら、2を x にも 3 にもかけます。
2 × x + 2 × 3
だから、
2x + 6
になります。
かっこの中の片方だけにかけるのは間違いです。
かっこの中の全部にかけることが大切です。
例題1:2(x + 3) を展開する
次の式を展開してみましょう。
2(x + 3)
2を、かっこの中の x と 3 の両方にかけます。
2 × x + 2 × 3
それぞれ計算すると、
2x + 6
になります。
2(x + 3) = 2x + 6
例題2:3(x + 4) を展開する
次の式を展開してみましょう。
3(x + 4)
3を、かっこの中の x と 4 の両方にかけます。
3 × x + 3 × 4
だから、
3x + 12
です。
かっこの前の数を、かっこの中の全部にかけるのが展開です。
ひき算があるときの展開
かっこの中がひき算になっている場合も、考え方は同じです。
2(x - 3)
2を、x にも -3 にもかけます。
2 × x + 2 × (-3)
2 × (-3) は -6 なので、
2x - 6
になります。
2(x - 3) = 2x - 6
x - 3 の「-3」までセットで考えることが大切です。
マイナスが前につくとき
次のような式は、特につまずきやすいです。
-(x + 5)
これは、かっこの前に -1 があると考えます。
-1(x + 5)
-1を、x にも 5 にもかけます。
-1 × x + (-1) × 5
だから、
-x - 5
になります。
-(x + 5) = -x - 5
かっこの前にマイナスがあると、かっこの中の符号が変わります。
x(x + 3) はどう考える?
次は、かっこの前が数字ではなく文字の場合です。
x(x + 3)
これは、
x × (x + 3)
という意味です。
x を、かっこの中の x と 3 の両方にかけます。
x × x + x × 3
x × x は x² と書きます。
x × 3 は 3x と書きます。
だから、
x² + 3x
になります。
x(x + 3) = x² + 3x
x² とは何か?
展開では、x² がよく出てきます。
x²
は、
x × x
という意味です。
「x の2乗」と読みます。
たとえば、x が 5 なら、
x² = 5 × 5 = 25
です。
x² は、x が2個かけ合わされているという意味です。
かっこが2つある展開
高校受験では、次のような式もよく出ます。
(x + 2)(x + 3)
これは、前のかっこの中のそれぞれを、後ろのかっこの中のそれぞれにかけます。
まず、x を後ろのかっこの x と 3 にかけます。
x × x + x × 3 = x² + 3x
次に、2 を後ろのかっこの x と 3 にかけます。
2 × x + 2 × 3 = 2x + 6
全部合わせると、
x² + 3x + 2x + 6
3x と 2x は同じ x の仲間なので、まとめられます。
x² + 5x + 6
(x + 2)(x + 3) = x² + 5x + 6
同じ仲間の項をまとめる
展開したあとに、同じ仲間の項をまとめることがあります。
たとえば、
x² + 3x + 2x + 6
の中で、3x と 2x は同じ x の仲間です。
だから、
3x + 2x = 5x
とまとめられます。
しかし、x² と x は同じ仲間ではありません。
x² と x は別の種類なので、x² + x を 2x にしてはいけません。
| まとめられる例 |
まとめられない例 |
| 3x + 2x = 5x |
x² + x はまとめられない |
| 5a - 2a = 3a |
2x + 3y はまとめられない |
展開と因数分解の関係
展開と因数分解は、反対の関係です。
展開
2(x + 3) → 2x + 6
↔
因数分解
2x + 6 → 2(x + 3)
展開は、かっこのある式を、かっこのない形に直します。
因数分解は、かっこのない式を、かっこのあるかけ算の形に直します。
展開がわかると、次に学ぶ因数分解も理解しやすくなります。
よく使う展開の公式
展開には、よく出る形があります。
最初からすべてを丸暗記しようとしなくても大丈夫です。
まずは「かっこの中の全部にかける」という意味を理解しましょう。
| 公式 |
意味 |
| (x + a)(x + b) = x² + (a + b)x + ab |
かっこが2つある展開 |
| (x + a)² = x² + 2ax + a² |
同じかっこを2回かける |
| (x + a)(x - a) = x² - a² |
たし算とかけ算の組み合わせ |
公式は便利ですが、意味がわからないまま覚えると間違えやすくなります。
まずは一つずつかける考え方を大切にしましょう。
例題3:(x + 4)(x + 2) を展開する
次の式を展開してみましょう。
(x + 4)(x + 2)
x を、後ろのかっこの x と 2 にかけます。
x² + 2x
次に、4 を、後ろのかっこの x と 2 にかけます。
4x + 8
全部合わせると、
x² + 2x + 4x + 8
2x と 4x をまとめます。
x² + 6x + 8
答えは、
(x + 4)(x + 2) = x² + 6x + 8
です。
例題4:(x + 5)(x - 2) を展開する
次の式を展開してみましょう。
(x + 5)(x - 2)
x を、後ろのかっこの x と -2 にかけます。
x² - 2x
次に、5 を、後ろのかっこの x と -2 にかけます。
5x - 10
全部合わせると、
x² - 2x + 5x - 10
-2x と 5x をまとめます。
x² + 3x - 10
答えは、
(x + 5)(x - 2) = x² + 3x - 10
です。
マイナスが出てくるときは、符号に注意しましょう。
よくある間違い
式の展開では、次のような間違いがよくあります。
間違いやすい考え方
・かっこの中の片方だけにかける
・2(x + 3) を 2x + 3 にしてしまう
・マイナスをかけ忘れる
・x × x を 2x にしてしまう
・x² と x をまとめてしまう
正しい考え方
・かっこの中の全部にかける
・2(x + 3) は 2x + 6
・-3 など符号ごと考える
・x × x は x²
・x² と x は別の種類
展開が苦手なうちは、途中式を省略せずに「何に何をかけたか」を書くことが大切です。
確認問題
式の展開の意味を確認してみましょう。
問題1
2(x + 4) を展開しましょう。
問題2
3(x - 2) を展開しましょう。
問題3
x(x + 5) を展開しましょう。
問題4
(x + 2)(x + 4) を展開しましょう。
問題5
(x + 3)(x - 1) を展開しましょう。
答え
問題1:2x + 8
問題2:3x - 6
問題3:x² + 5x
問題4:x² + 6x + 8
問題5:x² + 2x - 3
まとめ
式の展開は、高校受験数学でよく使う大切な計算です。
でも、最初から公式だけを覚えようとしなくて大丈夫です。
式の展開とは、かっこのある式を、かっこのない形に直すことです。
かっこの前の数や文字を、かっこの中の全部にかけます。
2x は 2 × x、x² は x × x という意味です。
展開と因数分解は、反対の関係です。
慣れるまでは途中式を書いて、かけ忘れを防ぎましょう。
展開がわかると、因数分解、2次方程式、関数の理解にもつながります。
まずは、「かっこの中の全部にかける」という基本を大切にしましょう。